
今回は、一般病院の先生からのご紹介を受けたゲストをご紹介します。乳がん手術後、乳房再建でシリコンバッグを挿入された女性。そのリタッチとして「脂肪を活用した乳房再建手術」を行いました。
目次
近年注目を浴びる、脂肪を活用した乳房再建手術
これまでの乳房再建手術は、腹部や背中の自家組織を移植する方法が主流でした。ただ、この方法は入院が必要だったり腹部や背中に傷痕が残ったりと、身体への負担が大ききかったようです。手術に踏み切れない人も少なくありませんでした。
その後、主流となったのがシリコンインプラント(人工乳房)による乳房再建手術。自家組織を移植する方法よりも気軽にできることから、シリコンインプラントを希望する人が増加しました。しかし、人工物ゆえの不自然さが残ることは認めざるを得ません。そんな問題を払拭したのが、近年注目を浴びる「脂肪を活用した乳房再建」なのです。
「自然なバストに……」乳房再建後のリタッチ相談にいらした女性
こちらは、一般病院の先生からご紹介いただいた患者さんです。1年前、乳房再建として左胸にシリコンバッグ(インプラント)を挿入されました。バストの左右差はほとんどなく、シリコンバッグの位置も自然です。しかし、皮膚との境目が目立ってしまっています。
今回ご来院くださった目的は、この境目をなくすことでした。そのためシリコンバッグは除去せず、境目に脂肪を注入することで見た目を整える方法を選びました。
【手術の前に】エコーで乳房再建バストの状態を確認
手術の前に、エコーを使ってバストの状態を見ていきます。確認したところ、通常あるはずの皮下脂肪や乳腺組織がほとんどありませんでした。シリコンバッグと皮膚との境目が目立つのも、これが要因でしょう。
乳房再建の脂肪注入は、通常と注入層が異なる?
通常のシリコンバッグ除去と同時のコンデンスリッチ豊胸では、皮下や乳腺下、カプセル下、大胸筋下といった複数の層に脂肪を注入します。しかし今回は、シリコンバッグを除去しないため、注入できるのは皮下と大胸筋内のみ。数少ない注入層へのアプローチで自然なバストを作るために、術前の入念なデザインは欠かせません。
脂肪注入による乳房再建手術後の経過
シリコンバッグと皮膚の境目への脂肪注入から1週間の様子がこちらです。まだ内出血していますが、目立っていた境目部分がボリュームアップし、自然な仕上がりになりました。なお、内出血は2週間程度で消失します。
脂肪の指導機関としてTHE CLINIC ができること
乳房再建手術では、より安全に治療を進め、患者さんにも安心していただくことが大切と言えます。そのため、今回のように一般病院と連携しながら乳房再建手術を行うことを徹底しているのです。
また当院では、脂肪注入の乳房再建に着目するドクターを対象に、脂肪採取や脂肪注入の技術セミナーを実施しています。脂肪の指導機関としてノウハウを共有し「乳がん手術を行った女性の生活の質向上」に繋がれば光栄です。