
豊胸大国であるアメリカの政府機関は、「シリコンバッグの平均寿命は10年。11年以内には少なくとも片方が破損する」。との調査結果を報告しています。シリコンバッグは、年々改良を重ねて進化を遂げているものの、人工物には変わりありません。そう、人工物ゆえのトラブルが数多く起こっているのです。ここでは、実際に私が見てきたシリコンバッグのトラブル例をご紹介します。
シリコンバッグトラブル事例その一.10年経ったバストの例
豊胸シリコンバッグの平均寿命である「10年」を超えたバストがこちら。強いカプセル拘縮によって酷く変形してしまっています。カプセル拘縮とは、シリコンバッグ豊胸によって形成された被膜(シリコンバッグの周りに形成される膜)が異常に厚くなり、バッグを強く締め付けること。バストの変形はもちろん、感触が硬くなったり痛みを伴ったりもします。症状が強くなると硬さが増し、寝ても流れない不自然なバストに……。
このゲストのシリコンバッグに破損は見られなかったものの、石灰化と硬く分厚くなった被膜が付着していました。石灰化とは、被膜の周りにカルシウムの結晶が沈着すること。シリコンバッグ豊胸から10年経つと、高い確率で発症すると言われています。ここまで来ると、バストは非常に硬い触感になります。
シリコンバッグトラブル事例その二.数年で破損した例
この方は、10年には満たないものの、5年以上前にシリコンバッグを挿入したそうです。バストの左右差がお分かりいただけますでしょうか。右胸のシリコンバッグが破損して炎症を起こし、腫れ上がっていたのです。
シリコンバッグの平均寿命は10年と言われていますが、それ以前に破損してしまうケースも少なくありません。ただ、破損は目に見えるトラブルではないので自覚しにくく、放置してしまいがちです。今回のように、左右差や痛みといった具体的な症状が出て初めて来院される方が大多数を占めます。
シリコンバッグの平均寿命は10年。トラブル回避は除去のみ
冒頭でも触れたように、シリコンバッグの平均寿命は10年と言われています。しかし、中には数年でトラブルが起こって除去を決意される方も。つまり、平均寿命に限らずトラブルが起こる可能性があるということです。
また、自覚症状がある方は放置せずに、除去することをお勧めします。以前、バストの異変を10年間も放置していたゲストがいたのですが、カプセル拘縮によって乳頭の位置はちぐはぐ、バストも酷く変形していました。異変に気づいていたものの、なかなか相談できずに10年経ってしまったそうです。放置は、トラブルを大きくする要因になります。バストの異変を少しでも感じている方は、なるべく早期にご相談ください。
まとめ
- シリコンバッグ豊胸は挿入期間に関わらず、トラブルが起こる可能性がある
- バストの触感や形の変化、痛みといった自覚症状の放置はトラブルを大きくする
- 挿入年数にとらわれず、少しでも異変を感じたら受診することが大切