
玉石混合の情報が入り乱れる現在、豊胸手術ひとつとっても様々な噂が飛び交っています。特に多いのが、シリコンバッグ豊胸に関するものです。日本だけでも年間2万人がシリコンバッグによる豊胸手術を受けていると言いますから、その分話題も絶えないのでしょう。
ここでは、シリコンバッグ豊胸にまつわる10個の噂をピックアップしました。これって本当? 嘘? 気になる噂の真相を、THE CLINIC 統括指導医の大橋昌敬がお答えします。<脂肪注入豊胸編はこちら>
目次
シリコンバッグ豊胸の効果は半永久らしい
・・・【ウソ】10年ほどで破損の危険性が高まる
シリコンバッグの品質は昔に比べ進化しており、耐久性も上がっています。それでも胸に挿入された豊胸シリコンバッグは、年数を重ねるごとにやはり劣化していくもの。つまり、半永久的に入れておけるわけではありません。
そもそも、シリコンバッグは挿入から10年程度で破損の危険性が高まると言われていますから、いつかは除去しなければならないのです。
また、シリコンバッグ豊胸から10年経ってなくとも、カプセル拘縮や石灰化などを引き起こせば劣化具合が進行するでしょう。
シリコンバッグが破損しても入替えれば問題ないらしい
【グレー】入替え回数を重ねる=バストにかなりの負担がかかっている
シリコンバッグは半永久ではないとお話ししましたが、10年単位、もしくはそれ以下の年数でメンテナンス(入替え)すれば問題ないのでは? とお考えの方もいらっしゃるでしょう。たしかに乳腺下から大胸筋下といったように挿入層を変えれば、かなりの回数の入れ替えができると推測できます。
ただし、シリコンバッグ挿入で同じ場所(挿入口の脇)を何度も刺激すると組織が損傷し、硬くなってボロボロになる可能性も……。入れ替えを何度も行うことで組織が破壊されるほか、バストが圧迫され続けた状態に陥るのです。そうなるとカプセル拘縮やリップリングのリスクが高まってしまいますから、トラブルの度、または10年毎に入替えればいいという話でもありません。
豊胸の中だとシリコンバッグ豊胸が一番痛いらしい
【ホント】大胸筋下法は筋肉を剥離するので激痛
大胸筋下に豊胸シリコンバッグを挿入する大胸筋下法は、大胸筋膜下を大きく剥離する必要があるので、かなりの痛みを伴います。
また、挿入層に限らず、マッサージをしなければいけない表面がつるつるしたシリコンバッグの場合、マッサージでスペースの広さを確保することがあります。癒着しかかった組織をマッサージで広げるわけですから、こういったケースもかなり痛いでしょう。
これらに比べると、脂肪注入豊胸やヒアルロン酸豊胸は注射器での注入するので、胸に大した痛みがないことがほとんどです。
シリコンバッグ豊胸したら感覚麻痺になることがあるらしい
【ホント】シリコンバッグ豊胸後の感覚麻痺は後遺症の1つ
起こる頻度はさほど多くありませんが、感覚麻痺になることもあります。広い範囲で麻痺を起こしていない限りは時間の経過とともに感覚が戻りますが、長期間戻らない場合もあるのです。
なお、感覚麻痺が起こるのは主に乳頭から外側にかけての皮膚ですが、広範囲になると胸から脇・腕にかけて麻痺することがあります。広範囲の麻痺は、極めて深刻な合併症。原因の多くは、手術時にシリコンバッグが入るスペースを作る時(組織を剥離する時)です。この時に細かい神経や血管を傷つけたり、血腫(血の塊)により神経が圧迫されることで、感覚麻痺を起こしてしまいます。
シリコンバッグ豊胸をすると、胸が冷たくなるらしい
【ホント】豊胸シリコンバッグは人工物ならではの冷たさがある
シリコンバッグは人工物なので、当然その部分に血流が通わなくなります。よって、シリコンバッグが挿入された胸は冷たく感じられるのです。
なかには、あまりの胸の冷たさから、恋人やパートナーに豊胸がバレるのでは? という不安を抱えて除去を希望される方もいらっしゃいます。
シリコンバッグ豊胸をすると、呼吸が苦しくなることがあるらしい
【ホント】大き過ぎるシリコンバッグが体を圧迫することで起こる
体に合わない大き過ぎるシリコンバッグを入れた場合、皮膚だけでなく肋骨も圧迫されてしまいます。その結果、呼吸がしにくい状態がしばらく続くことがあるでしょう。苦しく感じるのは数カ月で、しだいに慣れるかもしれませんが、問題は他にもあります。バッグによってバストが圧迫され続けることで、肋骨が変形して凹んでしまうことがあるのです。そうなるとシリコンバッグ除去時に胸が陥没してしまいます。
シリコンバッグ豊胸したらうつ伏せになれないらしい
【グレー】術直後は避けた方が良い
シリコンバッグを入れた直後は場所が定まっていないので、うつ伏せにはならない方が良いでしょう。その後、場所が定まればうつ伏せになっても問題ないと考えられますが、サイズが大きいシリコンバッグは破損リスクが高まることを念頭に入れておいてください。なかには、「エステやマッサージの最中にシリコンバッグが破損した」というケースもあります。
シリコンバッグの中身が漏れると、体に良くないらしい
【ホント】被膜の外に漏れ出すと、取り返しのつかないことに……
シリコンバッグの中身が漏れ出すケースには、2パターンあります。①シリコンバッグの中身が被膜内に漏れ出した場合と、②被膜の外に漏れ出した場合です。被膜とは、シリコンバッグの周りに形成される自己組織の膜のこと。結論から言いますと、どちらのパターンも決して体に良いことではありません。
①だと、カプセル拘縮が起こりやすくなります。そうなるとバストが硬くなるだけでなく、形状が異常と思えるようなボール状に。場合によっては痛みを伴います。
②の場合、シリコンバッグの中身が組織に浸透し、炎症を起こすことも考えられます。さほど多くはありませんが、「シリコノーマ」という肉芽腫(異物=シリコン粒子の周りに白血球が集まって腫瘤を作ること)ができる可能性も。ここまで来ると、肉芽腫を切除するしか方法はありません。シリコンバッグの中身が「皮下」にまで浸潤していれば皮膚切除、「乳腺」に浸潤していれば乳腺切除を余儀なくされるでしょう。
シリコンバッグ豊胸を受けると乳がん検診が受けられないらしい
【ホント】バレる確率が高い
日本の乳がん検査と言えば、「マンモグラフィー」と「エコー」の2つが主流ですが、シリコンバッグ豊胸は両方ともに映るため、バレる確率が非常に高いと考えられます。
また、マンモグラフィーの場合、胸を機械ではさみ、圧迫するという検査プロセスがあるため、シリコンバッグが破損する恐れもあります。この理由から、検診をする医療機関側から検診自体を断られることもあるようです。
痩せている人に最適な豊胸はシリコンバッグらしい
【ウソ】痩せ型のシリコンバッグ豊胸はリップリングの可能性を高める
脂肪が少ない(=痩せている)方の豊胸手術と言えば、シリコンバッグ豊胸のイメージが強くありませんか? しかし、痩せている方のバストにシリコンバッグを挿入すると胸の表面が波打ったり、バッグの一部が突起したりする可能性が高まるので、最適とは言えません。この症状は「リップリング」と呼ばれるトラブル。見た目に支障をきたすため、周囲にバレるリスクが高くなるでしょう。そのためか、シリコンバッグをせっかく入れたものの、抜去を希望される方も少なくありません。
では、痩せ型に適している豊胸術は何なのか? それは脂肪注入豊胸です。「痩せてるのに脂肪採取できるの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、元々脂肪量が多い太ももや腰からは、意外と脂肪を採取できたということもあります。
まとめ
- シリコンバッグ豊胸の噂は世に溢れている
- シリコンバッグは、挿入から10年前後で破損すると言われている
- 人工物特有のトラブルが多く、THE CLINIC ではお勧めしていない